『500マイル』の旅(2)
2021-09-02


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アメリカのフォークソング『500マイル(500 Miles (Away from Home)』について、前回紹介した「世界の民謡・童謡」サイトに、以下の記述があります。

<以下引用>

『500 Miles (Away from Home)』のルーツ・原曲として、カントリーミュージック商業化最初期の立役者フィドリン・ジョン・カーソン(Fiddlin' John Carson/1868〓1949) が1924年にリリースした『900 Miles/I'm Nine Hundred Miles Away from Home』の歌詞を一部ご紹介したい

Lord, I'll pawn you my watch
and I'll pawn you chain
Pawn you, my gold diamond〓ring
That〓don't pay my〓little woman's fine
Pawn you my wagon〓and my team

You can count the days
I'm gone on the train that I left on
You can hear the whistle blow a hundred miles
If that train runs right
I'll be home tomorrow night
Lord, I'm nine hundred miles from my home

(訳)

主よ、俺は時計を捧げる チェーンもダイヤの指輪も
女の罰金の支払いには使わない 荷馬車も馬も捧げる

指折り数えて待っていてくれ 俺は電車で出発した
100マイル先から 汽笛が聞こえるだろう
順調に汽車が行けば 明日の夜には故郷に戻れる
主よ、900マイルも 故郷から離れてるんだ

<引用ここまで>

この原曲もこのサイトに紹介されています。

[URL]

ギターでの単調な素朴な弾き語りの中に、遠く離れた故郷を思う心情が溢れているようです。メロディも何となく後年の『500マイル』を思わせるものがあります。この元歌の<900マイル>が<500マイル>になっているわけですが、これは、いくらアメリカでも900マイル(約1万5000キロくらい)が遠すぎるからなのか、繰り返すのが大変だから?なのかはわかりません。そして重要なのはこの中に次の一節があることです。

I'm gone on the train that I left on
You can hear the whistle blow a hundred miles

特に「You can hear the whistle blow a hundred miles」の一節は、まったくそのままの形で『500マイル』に取り入れられていますから、これは原曲の精神がこの一節にあること、そして新しい歌がこの原歌の精神を受け継いでいるということを示しているように思えます。

さらに、実は、他にも同じこの時代に『オールド・ルーベン』、『ルーベン・ブルース』、『Train 45』などと題される、様々な同様の曲が存在するのだそうです。ルーベン(ルーベンウェルズレナード:1860年-1930年)とは実在の土木技師・設計士・機関士で、カナディアンナショナル鉄道の建設にもかかわっているようです。この曲も「世界の民謡・童謡サイト」の中で聞くことができます。そしてその歌詞を見てみると、ここにも

 You could hear the whistle blow 100 miles

の一節が出てきます。

Should been in town when Reuben's train went down
You could hear that whistle blow 100 miles
Oh me, oh my you could hear the whistle blow 100 miles

(訳)

ルーベンの汽車が出発したら 街にいるんだ 聞こえるだろう
100マイル先から汽笛の音が おお 聞こえるだろう 100マイル先から汽笛の音が

まさにこのフレーズこそが原点なのです。アメリカの鉄道は19世紀から20世紀初頭にかけてがその建設の全盛期です。まだ自動車での移動が一般化する前、物資や家畜をカウボーイが馬で運んでいた時代。人々は誕生したばかりのこの蒸気機関車が引っ張る長い客車や貨物列車で広大な地域を移動していました。蒸気機関車は機械ですが、なんとなく人間のにおいがします。

まだ牧歌的雰囲気の残る時代ですが原曲の歌詞にある「(こんな遠くに来られた!)順調に汽車が行けば 明日の夜には故郷に戻れるんだ」という感じの純粋な喜びやのどかさは1960年のフォークソングでは消えています。実際には過酷な労働環境や排他的な人々も多い中で街から街へ彷徨う人たちも多かったようです。2番の歌詞では「着替えもなく 一文無しで 故郷に帰れない」という故郷喪失の思いが込められています。


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