飯能のシダ道
2024-02-13


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埼玉県西部の飯能市は山と川の街ですが、山のほうで有名なのは多峯主山や天覧山、そして川といえば高麗川(地元では名栗川)というところです。多峰主山より西に連なる山領群―天覚山、子の権現さらに伊豆ヶ岳(850.9m)までを「飯能アルプス」ということもあり、これはけっこうハードな登山路でもあります。一方、これらの山々と高麗川を挟んだ反対側にはゴルフ場や工場地帯がありますが、その中にもいくつかの魅力的な山があります。


今回、その中の柏木山と龍涯山を歩く機会があり、なかなか面白い発見がありました。この2山と多峯主山と合わせて「飯能三山」とよばれることもあるようですが、いずれも標高300メートルそこそこの低山ですから全部回ってもそれほど大変ではないと思います。ただ、山と山の間はゴルフ場や工場を見ながらの歩きとなりますので時間はけっこうかかるかもしれません。


この日は3人で行ったのですが、ネットで見つけたごく簡単な概略図と駅においてある観光地図だけを頼りの手探り登山です。周囲も良く見渡せ、心配がないこともありますが、観光地図もよくできていて感心しました。最初に登った柏木山は、知人から「あるシダの北限自生地がある」との情報をもらっていたのですが、確かにネットで調べると「シダ道」というのがあります。バス停「永田会館」というところで下車、高麗川をわたって10分ほど進むと緩やかな登り道に出ます。途中、ジャンダルムという恐ろしげな名のついたピークもありますが、その先の周回路のひとつがシダ道のようです。切り通しの道をゆっくり下ると確かに両側に大きなシダの群落が現れます。2~3メートルはありそうなウラジロシダのようです。一角には地元の有志が作ったと思われる説明版も立てられています。この2つの山とも、自治体などより、地元の方々が自分たちで管理して設置したという感じの施設が多いです。手作りのベンチや景観スポットで周囲の山々をのぞけるようになっているスコープ風の竹筒など、ほんとに楽しいものばかりです。


シダ道はかなり長いです。どうしてこの場所だけに群生しているのか不明ですが、飯能自体は南北の気候帯の境目にあり、植物も豊富で独特のようです。天覧山にはハンノウザサというもあるらしいです(観光地図より)。木の上に産卵するモリアオガエルも有名ですね。柏木山は全体が自然林でクヌギやコナラ、ヤマザクラなどに覆われた雑木琳が中心で、今は深い落葉にうずもれていますが、春夏秋は美しいのではないかと思います。


柏木山を下るとなんとなく新興住宅地風のきれいなの街並みが現れます。キューピーの工場や巨大な建設用品工場などが続き、その周囲を歩くと次の龍崖山というこれも小さな山が現れ、その麓には谷間を利用した大きな公園が造成されています。登山道はその公園からです。焼山というピークに小さなクサリ場があったりしますが、全体的にここも自然林とヒノキの植林地に覆われた気持ちのいい山です。


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山を抜けると、高麗川の河原に下る道があり、あらためて、ここが「吾妻峡」という渓谷に位置していることがわかります。ドレミファ橋という円柱状の渡り石で川を超えたところに金蔵寺という古い寺院があるのですが、関連した八耳堂という聖徳太子信仰のお堂や中から由来書が見つかったという市の文化財の宝篋印塔などがあり、手前の小さな池と合わせて、なんとなく神聖な雰囲気を漂わせています。龍崖山は大河原氏という地域の豪族の山城にもなっており、歴史は深いのです。永田大杉というバス停から駅までのバスが出ていますが、ここから御岳八幡神社に続く道がありそこをたどると多峯主山に行けるようです。


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